AI応用の地図 — どの課題に、どのAIを当てるか

「AIで何とかしたい」課題を前にまず決めるのは、アルゴリズムの名前ではなく問題の型です。数値を当てるのか、ラベルを付けるのか、何かを生み出すのか——出力に求めるものが決まれば、使う手法はほぼ自動的に絞られます。5つの型と3つの学び方を、動く地図で見渡しましょう。

1. すべては「入力 → モデル → 出力」

どんなAIも、煎じ詰めれば入力を受け取り、学習した関数(モデル)に通し、出力を返す装置です。入力の形(画像・文章・数値)も出力の形(ラベル・数値・文章)もさまざまですが、この3段の骨格はいつも同じ。ボタンで例を切り替えて、間の「モデル」に何が入って何が出るかを見てください。

入力 → モデル → 出力 — 骨格はいつも同じ
左=入力、中央の箱=学習済みモデル(関数 f)、右=出力。パケットがモデルを通ると、入力が出力へ変換されます。入力も出力も形は違えど、「間にモデルが挟まる」構造は共通です。
POINT — 最初に決める2つ 課題を見たら、まず「入力の形」と「出力に求めるもの」を言葉にする。この2つが決まれば、どの手法ファミリーを使うかがほぼ決まる。手法選びは、この後まわしでよい。

2. 課題を手法に振り分ける地図

出力に何を求めるかで、AIの手法は大きく5つのファミリーに分かれます。現実の課題を選ぶと、トークンが地図を流れて対応するファミリーにたどり着きます。「自動でめぐる」を押すと、いろいろな課題が順に振り分けられます。

課題ルーター — 出力の型でファミリーが決まる
課題トークンが中央の分岐(「出力は何を求める?」)を通り、対応するファミリーの箱へ流れ着きます。箱が光ったら、そこがこの課題の主戦場。到着した箱に具体例が表示されます。
ファミリー出力に求めるもの身近な例
回帰連続した数値を予測売上・価格・気温・需要の見積もり
分類いくつかのラベルのどれか迷惑メール判定・画像のカテゴリ・感情分析
生成モデル新しい文章・画像を作る文章生成・要約・画像生成・翻訳
推薦各人に合うおすすめ映画・商品・ニュースの提案
検索大量の中から見つける類似FAQ・画像検索・意味の近い文書
注意 — 型は重なることがある 現実の課題は複数の型にまたがることも多い(「おすすめ」は検索や分類の技術も使うし、要約は生成でも分類でもある)。まずは主となる出力の型で当たりを付け、必要なら組み合わせる、と考えるのがコツ。

3. 3つの学び方 — 教師あり・教師なし・強化学習

手法ファミリーとは別の軸として、「何を手がかりに学ぶか」で学習は3つに分かれます。3つのパネルが同時に動いています。ボタンで1つに注目すると、その学び方だけが明るくなります。

3つの学習パラダイムを見比べる
左=教師あり:正解ラベル付きの例(青/桃)から境界を学ぶ。灰色の「?」が来るとどちらかに分類される。中=教師なし:ラベルなしの点が自然に3グループへ色分けされる。右=強化学習:エージェントが★を目指して試行錯誤し、報酬で行動を学ぶ。
学び方与えられるもの主に担う型
教師あり学習入力と正解ラベルのペア回帰・分類
教師なし学習入力だけ(正解なし)クラスタリング・検索や推薦の土台
強化学習行動の結果に対する報酬制御・ゲーム・対話の最適化

4. 手法ファミリーの見た目カタログ

それぞれのファミリーが「どんな絵を描く技術なのか」を、代表的な図で並べました。ボタンで切り替えて、5つの型の見た目の違いを掴んでください。同じ課題でも、この絵のどれに当てはめたいかで手法が決まります。

5つのファミリーの代表的な図
回帰=点に線を通す/分類=色の違う点を境界で分ける/生成=ノイズから形を生む/推薦=空欄の評価を埋める/検索=クエリに近いものを見つける。どれも「入力→モデル→出力」の変奏です。
一歩先へ — 大規模モデルは地図をまたぐ 最近の大規模言語モデル(LLM)は、分類も生成も検索の入口も1つのモデルでこなす「万能選手」に見える。だが内部では依然として次の単語の確率を予測する(=分類の親戚)という1つの型に還元されている。地図の型を知っておくと、派手な応用も「どの骨格でできているか」で読み解ける。次のレッスンでは、その入口となる言葉を数に変える技術に進む。

5. まとめ