プロンプトエンジニアリング — 次トークン予測器を言葉で操舵する
LLM は突き詰めれば「次のトークンを当てる」だけの確率マシンです。その出力分布を、モデルの重みには一切触れず、入力の文(プロンプト)だけで狙った方向へ寄せる技術がプロンプトエンジニアリング。ここでは Few-shot と Chain-of-Thought という2つの主力技を、実際に動かして「なぜ効くのか」を確かめます。
1. LLM の正体 — 出力は確率分布、プロンプトはその舵
モデルが返すのは「次のトークン1個」ではなく、全語彙にわたる確率分布です。そこから1つ選んで文脈に追記し、また次を予測する — この繰り返しが文章生成の正体。温度 T は分布の尖り方を決めるつまみで、低いほど堅実(毎回いちばん有力な候補)、高いほど多様(珍しい候補にも目が出る)になります。
▶ で物語を生成してみてください。温度を上げてからリセット→生成し直すと、同じ書き出しから別の結末が生まれます — これが確率的生成です。
2. Few-shot — 「例」で答え方の書式を教える
タスクの指示だけ(zero-shot)だと、モデルは「どう答えるのが正解か」を決めきれず、冗長だったり書式がバラバラだったりします。そこで入出力の例をいくつか見せるのが Few-shot(few=少数の例)。モデルは例からタスクの意図と出力の型を読み取り、それに揃えて答えるようになります。
下のデモで例を 0個 → 1個 → 3個 と増やし、同じ質問への出力が望んだ書式(ラベル1語)に収束していく様子を見てください。
3. Chain-of-Thought — 「考える過程」を書かせる
多段の計算や推論が要る問題では、いきなり答えを出させると間違えがちです。「順を追って考えてから答えて」と促し、途中式や理由をトークンとして書き出させるのが Chain-of-Thought(CoT/思考の連鎖)。答えに至る計算を紙の上で展開するように、モデルも生成した中間結果を手がかりに次を予測できるため、正答率が上がります。
ボタンで直答とCoTを切り替えてください。直答は途中を飛ばして誤答、CoT は段階を踏んで正解にたどり着きます。
4. 良いプロンプトの組み立て方 — 型で考える
効くプロンプトは、勘ではなく部品の組み合わせで作れます。役割・文脈・指示・例・出力形式を必要なだけ足していく。とりわけ指示(何をしてほしいか)と出力形式(どんな形で返すか)は、曖昧さを消して結果の再現性を大きく上げます。
チェックを付け外しして、プロンプトに部品を足していってください。右の指示の明確さが上がるほど、モデルは迷わず狙いどおりに答えられます。
5. まとめ
- LLM の出力は確率分布。プロンプトはその分布を狙った方向へ寄せる舵で、温度が「選び方の大胆さ」を決める。
- Few-shot — 入出力の例で「答え方の型」を教える。重みを変えずに書式や意図を伝えられる(文脈内学習)。
- Chain-of-Thought — 途中の思考を書き出させると、多段の推論・計算の正答率が上がる。ただし万能でも内心の記録でもない。
- 型で組む — 役割・文脈・指示・例・出力形式。とくに指示と出力形式が曖昧さを消し、結果を安定させる。