AIエージェントとツール使用 — 考えて、道具を使い、確かめる
単体の LLM は「一発で答える」だけ。しかし目標を与えて、自分で計画し、電卓や検索などのツールを呼び、結果を見てまた考えるループを回すと、ぐっと賢く振る舞います。この「観察→思考→行動」を繰り返す仕組み(ReAct)と、途中の誤りを自分で正す自己反省を、動かしながら理解します。
1. エージェントの正体 — 回り続ける「思考→行動→観察」
ふつうの LLM は質問に一度で返事をします。エージェントはそうではなく、思考(次の一手を計画)→ 行動(ツールを呼ぶ)→ 観察(結果を読む)という短いループを、目標に届くまで何周も回します。この推論と行動を交互に行う型を ReAct(Reasoning + Acting)と呼びます。
下のリングで、エージェントがどの段階にいるかが光ります。速度を変えたり1ステップずつ進めたりして、ループが回り続ける様子を見てください。
2. 道具を選んで呼ぶ — ツール使用(function calling)
LLM は文章の続きを予測するのは得意でも、正確な計算・最新情報の取得・コードの実行は苦手です。そこで用途ごとのツールを用意し、エージェントが「どの道具を・どんな引数で呼ぶか」を選びます。呼び出した結果(観察)が次の思考の材料になります。
下で例を切り替えると、要求に応じて選ばれる道具が変わります。呼び出しの往復(要求を送り、結果が返る)を目で追ってください。
3. 推論と行動が積み上がる — ReAct トレース
実際の課題を解く様子を見てみましょう。「48 と 33 の合計の平方根は?」— LLM は暗算を間違えがちですが、エージェントなら計算機を2回呼んで確実に解けます。各ステップはそれまでの履歴すべてを踏まえて次の一手を決めます。
課題を選び、1ステップずつトレースが伸びる様子を追ってください。
4. 自己反省で誤りを正す — Reflection
エージェントは間違えます。強力なのは、自分の出力や観察を振り返って誤りに気づき、やり直す点です。これを自己反省(Reflection / Reflexion)と呼びます。
下は「√(50 + 31) は?」(正解 9)。最初にエージェントは「31 を足し忘れて √50 を計算する」ミスをします。自己反省をオンにすると、そのミスに気づいて軌道修正し、正解にたどり着きます。オフだと誤答のまま終わります。
5. まとめ — 自律的に動く LLM の骨格
- ReAct ループ:思考→行動→観察を、目標に届くまで繰り返す。推論と行動を交互に行うのが要。
- ツール使用:計算・検索・コード実行など苦手を外部に委ね、結果(観察)を次の思考に使う。
- トレースは累積:各ステップは全履歴を条件に決まる。文脈を食い、誤観察も溜まるので設計に注意。
- 自己反省:自分の誤りに気づいてやり直す。単発生成では届かない難題に強くなる。